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概要

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忙つながるかは、全く不確実である。通常、人間は市場においてその欲求(Wants)に従って自由に消費行動を行う。Ⅱ節で述べたように、先進国起源の著惨品とそれに対する必需品で構成される途上国市場に宙いては、貧困層が加工食品、清涼飲料、タバコ等の曹陸34)品を購入する現象が不可避的に起きる。この消費は生産性上昇につながるどころか、生産性上昇をもたらす筈の必需品の購入を不可能にしてしまう。途上国の市場の実情を考えると〔生産一所得〕構造-の直接的介入なしでは、生産性に貢献する食糧消費の確保は不完全に終わろう。低開発性の克服に対する本質的解答が与えられているとは言いがたい。しかし、HDが基本的に福祉志向であることは認めたい。特に食糧消費に対する評価の転換は大きな意味を持つ。そのおかげで一般に基本的食糧に関連する諸部門(例えば農35)業、肥料工業等)が優遇されるであろうL、食糧の配給に対する評価も変わってこよう0その結果,飢えによる犠牲者を救える可能性が増大しよう。しかし世銀がHDを打ち出したのは、途上国側がBNSに対して、それが(1)工業化に不適切であり、.原始的技術の押しつけにつながる、(2)先進国による国内問題-の干渉を高める、(8漸国際経済秩序の確36)立をうやむやにする煙幕である、として否定的な反応を示したことも強く働いており、そこに国際援助機関としての世銀の立場に大きく規定されたHDの限界がある。Ⅳ開発戦略-将来への展望(i)BNSから適正開発-先進国起源の、途上国には不適切な諸要素のパッケージが途上国に移植され、その不適切さのゆえに特殊な低開発性が出現したという視点については、Ⅱ節で触れたとおりである。この低開発性の結果、途上国の国民は、公式部門で働き、洗練された商品を享受する少数の高所得エリート層と、非公式部門で働き、人間としての基本的ニーズも充足できない圧倒的多数の貧困層とに二分される。このように苛酷な社会的不公正に直面する時、国際経済学の規範的部分であり、国際厚生経済学たる開発経済学は、どのようにBNSを解釈すべきであろうか。心理学者のA.Maslowは、全ての人間の内面にはニーズの階72注34)FrancesStewart,op-°it.,p79注35)スリ.ランカは70年代後半,食糧配給4)削減を条件にIMFの貸付を受けてVlるo注36)W.B.PolicyPlanning包ndProgram Review Pep.op.cit.,p18