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概要

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いう政策こそ日本が誇りにしてよいものである.アメリカ合衆国やソビエト連邦のような天然資源にも恵まれた超大国ならいざ知らず、他のいかなる国でも一国の予算を国防費に多大の金額を割り当てながら自国の経済発展や学問研究の水準の向上を図ることは不可能であろう。現代では世界のどの地域においても、軍事力の強大さは近隣諸国を制圧する有効な力とはなり得ない。そのことは中東紛争、アフガン紛争などが如実に示している。日本が21世紀の世界において最大の貢献をなし得るとしたら、現在のこの難しい局面においても平和国家こそ世界の安定のための唯一の道という考え方を曲げないことであろう。途上国に国家発展の道を示し夢を与えることが日本の役割の1つでもあるとするならば、日本は国連大学の場を通して、軍事大国を放棄することの意義を理論的体系的に説き明す研究を開始すべきではなかろうか。5.結言国連大学は国家の利益を超越した組織であるという所にその弱みもあれば強みもある。先にも述べたように、国家的利益に直接結びつかないがために基金がなかなか集まらないなど、経営上の困難を生じることは政府間機関でないことから来る弱みの1つであろう。しかし、国連大学の諸活動が世界の国々に対し説得力を持ち権威あるものとして評価されるためには、国家的利益に左右されない確固とした独自性が堅持されねばならない。そういう基盤が既に存在していることは何よりの強みであり、いかに経営上の苦しさがあろうとも捨ててはならぬものである。おそかれ早かれ人類が1つになる時代は必ずやってくるであろう。国連大学はそのときに向けて常にリーダーシップを取り続けねばならないD人類のルツポといわれ、人種的偏見や差別のもたらす弊害や乱控に悩んできたアメリカ合衆国、多数の少数民族を内に抱えて複雑な政情下に国の統一をなし遂げてきた中華人民共和国やソビエト連邦共和国、文化的・歴史的背景を異にする多数の国々の統一国家をこ720