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概要

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第6回優秀賞1万8000ドルの出資がなされるとのことである。しかし、これらはいずれも金額としては十分なものとはいえないo各国政府からの寄付の内訳を示す統計を見ると、ここでも先進諸国に数えられるのは、オーストラリア、スウェーデン、ノルウェー、スイス、オランダ、のみであり、その他の14カ国は途上国である。国連大学の対外開発部門はこうした現状を打破し、国連大学の財政的基礎を確固不動のものとするぺく、他の部門とも協力しながら世界の各地域に対して募金戦略を立て実効に移っている.各国の在東京大使館やニューヨークの国連代表部に対して何回も国連大学説明会を催すなどして協力を呼びかけており、その成果はかなり上っているように思われる。しかしながら、このような努力だけではやはり限界があると思われる。先進諸国からの積極的協力が待やすいような国連大学の運営や活動の仕方が追求されなくてはなるまい。国連大学理事国の顔ぶれを見ると圧倒的に途上国が多い。また国連大学で取り上げているテーマやそれにもとづく研究プログラムはほとんど途上国に関する諸問題である。国連大学で取り上げるべき問題は、先進国の中にも多く見出されるo先進国はそれらの問題を独自で研究する力を持っているから不要だという見方もできよう。しかしながら,多数の国にまたがる大きな研究は、各国の政治経済的歴史的な事情がそれをなかなか許さない場合がある。各国の利害を超越した研究組織が行うことが研究遂行上最も効率的であるような研究テーマ、たとえば"高齢化社会における福祉制度の維持と発展"、"豊かな社会に見られる青少年のアパシーと非行化"-などを取り上げたらどんなものであろうか。日本はリーダーシップを取り、国連大学の運営や活動の分野にもメスを入れて、国連大学が途上国のためだけのものという印象を払拭する努力をすべきであろう。そのようにしながら、日本自身さらに国連大学基金に大幅な拠出金増額を行い、先進諸国に積極的に働きかけて基金-の拠出をしてもらうよう橋渡し的な役割を果すことが望ましい。国連大学本部は、今、東京渋谷の東邦生命ビルの中に置かれている。国連大学は一般の大学のような学生の教育機関ではないので、このようなビルの一角を借りた形であっても715