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概要

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第6回優秀賞ならない。国連大学の研究は地球的規模でしかも人類ひとりひとりに深刻な影響を及ぼす問題をその対象としているのであるから.広汎な人々のコンセンサスを得てその協力を勝ちとることが、活動成功の鍵となる。そしてまた、それが国連の理想を実現するためのひとつの足掛かりとなるはずである。以上、国連大学の活動のいわば前提的な方向付けとして、広報活動の重視という点を論じてきた。次に、具体的な活動内容に目を転じてみたい。国連大学の活動は先に掲げたテーマの下にプログラムを定め実施されている。中でも、平和と紛争解決に関する研究、貧困問題等緊迫度の高いテーマが優先課題に定められている。いきおい、発展途上国が抱える諸問題についての研究が中心となる。そこでは、明日をも知れぬ厳しい現実が人類の生存を阻んでいる.しかも、その現実をもたらしたのは他ならぬ人類自身なのだ。自然条件や歴史的条件の違いから地球という単一の惑星の中に生じた差異は、放置されて差異がまた差異を生み、人類の生存環境を抜き差しならぬ事態に追い込んだ。衣食住の最も基本的な部分を"南"の諸国に依存する"北"側にとって、日南"の死活はまさに自らの死活問題であるわけだ。途上国の抱える生存に関わる問題について、国連大学は当該国の大学や研究所を拠点として、個々の現状に即して、時には村落レベルの研究活動を行なう。各国各地域はそれぞれ事情も条件も異なるから、個別に対処するより道はないのだOとすれば、従来からの各種の援助協力活動との関係はどうなるのだろうか。発展途上国に対して援助協力を行なっているのは、国連の専門機関、ODA (政府開発援助)、民間団体、個人のボランティア等が主たるものである。このうち、ODAは、旧植民地を主たる援助の対象とする国など、各国政府の戦略的思惑が絡みがちである。民間の活動は熱意溢れる地道な努力がなされ、小さくとも着実な成果が上がっている.しかし国際協力というものは本質的に政治と無縁ではあり得ない。いかに良かれと思っても、当事国政府の意向を無視する行動は不可能だ。政情不安定な国では更に問題が難しくなる。また、援助する側とされる側の思惑違いということも根本的な占95