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第6回「今後の国際社会における国連大学の役割と日本」優秀賞岡村志嘉子-、はじめに-国連の現状を踏まえて国連の形骸化が叫ばれて久しい。加盟国数は設立時の3倍を超える159か国(1985年1月末現在)にも上り、殊に所謂第三世界諸国が多数派を占めるに至った。政治的にも経済的にも不安定要素の多いこれら第三世界諸国は、国連の場を自国発展の足掛かりにしようと積極的に動いている。先進諸国側とも利害が複雑に絡み合い、これを統一するのは容易なことではない。いきおい、米ソ両大国の駆け引きどおりに物事が進まなくなった。これは、米ソ両大国の国連における影響力が相対的に低下したことを意味する。第一の拠出金負担国でありながら、その運営が思うに任せないことに、米国は強い苛立ちを感じており、昨年末にはユネスコ脱退という事態にもなった。一方、第三世界諸国は数の上では優勢であっても経済力がそれに伴わない。従って、国連でのさまざまな決議も自らの力で実行することができない。先進諸国の協力が不可欠なのだ。先進諸国も第三世界の発展途上国-の援助協力は歴史的必然であると認識している。しかし、発展途上国揺押しつけの援助を受けようとはしない。このような情況において、国連の場は各国間の利害対立の調整に大半が費やされ、実効的な機能をなかなか発揮することができない。政治的立場も国力もひとつひとつ異なる国家が対等の立場に立った巨大集団にしてみれば、当然の帰結であるともいえよう。しかし、大多数の人はまだ国連に見切りをつけてはいない。人類の生存と将来の繁栄のためには、国連はやはり唯一最善の機関なのだ。長い歴史的経験から、世界全体の平和的占89