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概要

satoh

第6回最優秀賞は、日米という2国間関係を地球的な関係にまでもっていくという意思が欠如しているといえないだろうか。日米の経済摩擦の解決はEl米でやり、公的開発援助の問題は国連やOECDのような国際機関の場で対処するという二段構えの方式は実務的発想ではあるかもしれないが、世界の中の日本の役割という点で明確な主義、主張に基づくものであるとは思われない。例えば、アメリカの消費需要の相当程度が日本の輸出品に向けられており、その結果としての貿易収支の黒字が仮になければ、日本の開発援助もかなり低下せざるを得なくなるのではないかOそうだとすれば、日米経済関係は単に2国間の問題であるに止まらず、その外部的波及効果は地球全休におよぷことになる。こうしたマルチの視野が必要である。単に、我が国は自由主義貿易を是とする故に、米国の保護主義には反対するというロジックには、これからの地球社会の構築に向けて、その作動原理たるグローバル・ソフトウェアの設計に積極的に参画するという意思が感じられない。筆者は、貿易摩擦というホットな経済問題を論ずる際にも、地球的な広がりを絶えず視野におさめつつ、具体的な行動計画を練り上げていく方向がこれから踏むべき道であると信ずる。こうした地球規模の問題意識を政策決定者に抽入し、世界の中の日本という長期的目標に誘導していくような役割を、 E]本に本部をもつ国連大学にも期待したい。平和とか人類というもののイメージを一般大衆に求めることは棲めて困難である。日常生活の次元を一見超えているような概念を、具体的なレベルに展開して見せてはじめて、地球感覚を大衆に植え付けることが可能となるのだろう。平和とか人類という言葉はそのままでは無力なスローガンに過ぎない。崇高な言葉は得てして孤立しがちである。したがって、あえて「平和と人類の進歩への貢献」という目標をかかげた国連大学は、その理想の孤立や風化を防止するべく絶えず努める必要がある。理想であるが故に、その実現方策は通常期待される以上のリアリティを備えたものでなくてはいけない。理想と現実のギャップを埋めるのが国連大学の役割であるともいえるO「国際連合大学一現況と基礎資料」(1985年6月)によれば、国連大学の主目的のひとつに、「学者や専門家ばかりでなく政治家や官僚から村落住民に至る広い範囲の人びとの占83