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概要

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第6回最優秀賞中心と周縁、文明社会と未開社会という図式で理解してきたのは誤りではなかったのかという反省さえ文化人類学者の間に流布している。もしそうだとすれば、developed countryとdeveloping countryとの関係も、 1人当りGNPのような指標だけではトータルにはつかめないのではないかという疑問がわく。文化的相対主義はこうした一元論的な考え方に対する代替的考え方の表明でもある。人間の次元で効率性をとらえれば、生産労働力の効率的配分システムの実現となるが、生活のゆとりやレジャーという面もそもそも人間にとって不可欠の要素なのである。道具の使用という人類の特徴についても、そうした能力は遊びから誕生したのではないかという説が有力である.文明というものがもしそういう形で起ってきたとすれば、近代の効率主義の考え方だけが唯一絶対的なものであるとはいえなくなるO人類の進化は、効率性と遊びの両面から評価されるべきである。プロテスタンティズムの倫理が近代西欧の資本主義社会の形成に役立ったように、労働に関する新しい倫理の構築が文化の多様性と矛盾せずに地球的規模でなされる必要がある。5家族生活の国際比較以上1~4まで主として文明という角度から研究テーマをひろってきたが、ここでは生活という次元から考えてみることとする。子育てのやり方を例にとっても、東洋では農耕民族的で甘やかし、西洋では狩猟民族的に厳しいという違いがある。生活や風俗には、「郷に入っては郷に従え」という諺があるように、各地域の風土的限定がなまの形で現われる傾向があるようで、そこに一般化された普遍性を見つけることは困難であろう。むしろ、育児のあり方を相互比較するところから、お互いに他から学ぶことも発見されるだろう。主婦やサラリーマン生活の国際比較も、生活時間の配分、生きがい、上司との関係、会社観、人生観など様々なレベルで行えば、他国の内側から他国を観察する操作が容易になるはずである。国際理解にはマクロな国レベルのものと、ミクロな人レベルのものと2通りがあるO外占79