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概要

satoh

たっながら有しているという「-だて」の感覚に支えられた寛容主義が前提としてあるべきである。いきなりここで文化の問題を出してくることは少し唐突の感があるかもしれないが、研究成果を左右する要因として、問嵩のたて方や対処の仕方は影響力の大きいものであり、それらは結局のところ、研究者の人生観や世界観を反映するものだと考えられるからである。研究活動に対する文化的差異の影響は、通常考えられるよりも、より根源的なレベルにおいて特に大きいのではないだろうか。それでは次に、こうした2つの前提をもとに、国連大学のこれからの新理念を模索することとしたい。新理念、新しい地縁関係としての地球すでに我々の世代は1970年代において地球生態系のバランス稚持の必要性を数々の公害事例を通じて学んだ。オイルショック直前に出されたローマ・クラブの報告書に象徴されるように、地球上の諸活動を資源、環境、人口、エネルギー、食糧などのマクロ指標相互間の関係性として把握しようとする研究はかなり行われている。'82-'87の国連大学の活動指針を定める中期展望においても、同趣旨の研究が、エネルギーシステムと政策、資源政策と管理、食糧・エネルギー連鎖、食糧・栄養・生物工学・貧困というテーマでプログラム領域計9のうちの4つを占めている.こうした発想は、いわば外側から人類存続の諸条件を探ったものである。そこには当然、地球規模の視点から複雑な相互関連が地球的文脈のなかで理解されているが、その射程範囲は物理的な-ード面にかかわるものであってそれ以上のものには及んでいない。すなわち、前章で述べた、個立的な生き方をめざす個人と個人との関係としてこれからの地球社会を、いわば内側からとらえる視点を欠いたものであるといわざるを得ない。さらにまた、各地域の生産活動を集計したマクロ指標の次元における関係性のみに固執することは、天下り的に「地球はひとつ」というスローガンを押しつける危険性もないわけではない。生態系の危機という観点から地球の将来について警鐘を乱打した意義は大きいと言う874