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概要

satoh

たがって国際関係は、それがモノ、カネ、ヒトのいずれの交流であっても、個のレベルにおける人際関係ぬきでは成立し得ないというべきである。このことは今日の情報社会においてますます現実化している。主として通信技術の進歩によって、他国の情報をじかに入手し、それに対して反応しうるような個人が大衆のレベルで生み出されており、自国と他国との距離感は急速に喪失しかけている。こうした情報の個のレベル-の拡散こそ21世紀前の今日の特徴であり、国家を階層構造の頂点とする近代の中央集権的主権国家のあり方を、より分権的な方向-と変革しうる可能性を秘めているということができるoこうしたポスト・モダン-のベクトルをはらむ新し叫国人の誕生は、主権国家に基礎を置くこれまでの国際社会観とは次元を異にする、個立的(stand-alone)な生き方を追求する個人をベースにした生態的な世界観を示唆するものである。各国の動きをあたかも自国内の各地域における出来事であるかのようにとらえられるグローバルな感性を有し、地球をひとつのものとして自己の視野におさめられるような宇宙人の眼をもった個人こそが、今後の国際社会をになう基本的単位であり、地球社会の到来を告げるものに他ならなしへ。第2章国連大学の新理念国連大学憲章によれば、国連大学のあり方は、地球的な巨大規模かつ高度の複雑性を有する緊急問題(-研究対象とする問題)を国境を超えて取り組む(-研究体制)こととされている.筆者はこの後段の部分を極めて重要な規定であると考えるO単にグローバルで複雑な問題を研究するだけであれば、ある国家またはその特定のグループの学術機関だけで対応することも可能であるし、現に数多くの研究がそういう形でなされている。しかしそれでは、国益や圏益、あるいは特定の価値観からフリーであるとはいえまい。すなわち、国境を超えた研究体制を条件とすることは、研究者白身が無意識であるにせよ、抱いているものの考え方や価値観を単にまぜあわせた混合物としての視点から問題を分析する占72