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概要

satoh

第6回最優秀賞まず第1章で、今後の国際社会を、各国があたかも一国内の各地域のように関係し合う地域社会の到来としてとらえる。次に第2章で、国連大学の理念を問い直す。すなわち、生存のための分かち合いと協力というこれまでの理念を探化させて、国連大学におけるこれからの新しい研究領域を刺激するような新理念の構築を試みる。これを受けて第3章では、将来研究すべき基本テーマを、哲学、共同体、技術、進化、生活、言語、平和などのアングルから具体的に提案する。最後に第4章では、日本から見た国連大学ということで、日本人のよってたつ国際社会観の前提を崩壊せしめ、新しい知的構成-と導くような活性化作用を国連大学に期待するにはどうすべきかについて論じる。第1章地球社会の到来世界銀行の報告によれば、15年後の西暦2000年の世界をGNPで見た場合、 2割弱国家の米国、 1割国家のソ連と日本、それに英独仏が続くという。北側の経済的優位はこのように現状と大差ないものと予測されるが、各国間の相互依存関係は増大し、地球はますます狭くなっていくだろう。貿易や資本移動といった経済的要因の他に、国境を超えたコミュニケーション手段や通信ネットワークの拡大を通じて、人と人とがじかに生活の次元でふえあえるような社会が国境を超えて形成されつつあるという事実は、すでに国境というものの存在感を人類史上かつてなかったほどに希薄なものとしている。その国のGNPがいくらで世界第何位であるかという経済的尺度それ自体ではなく、その国の人々の生活様式や価値観のような内面性をも含めたトータルなものによって比較を試みるべきだとする意見は時を追って優勢になりつつある。そもそも国と国との関係は、二国間の貿易収支が双方の生産者としての企業群と消費者としての一般大衆との間における財の交換活動の集計量であるように、個のレベルに還元されるものである。この意味において、国と国との関係は人と人との関係の集積であって国と国とが直接に交渉を持つというのはひとつのフィクションであるとも考えられる。し占71