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概要

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「今後の国際社会における国連大学の役割と日本」栗原史郎はじめに第2次世界大戦が終って今年でちょうど40年を迎えた。戦後の混乱期に生をうけた筆者にとって国連40年の歴史について考えることは、戦後40年の日本について思いを巡らすことより一層困難な作業である。戦争体験のない、戦後生まれの日本人にとって世界平和や国連というものは彼岸にある聖なるイメージをもつものであって、それについて観念論以上の議論を期待することはほとんど不可能であったに違いない.すなわち、世界は平和であらねばならないし、日本は国連憲章の精神を最大限尊重しなければならない、という前提を疑うことができないために、結果とLて平和-の積極的な取り組みや国連のあり方について傍観者の立場に甘んぜざるを得なかったのだろう。兵役義務のないことや国際紛争に直接まきこまれることがなかったのは、この意味で、戟後生まれの我々にとって不幸なことであるのかもしれない。しかし一方で、戦後の奇跡ともいわれる経済成長が成熟期に適した1960年代の終わり頃から、我々の世代にかつてなかったグローバルな意識が台頭してきた。公害問題に触発されたエコロジー-の関心の深まりや石油ショック、発展途上国援助予算の増大、そして最近の貿易摩擦の激化などを通じて、資源、環境、エネルギーといった地球規模の緊急問題-の認識が深まるとともに、世界の中の日本経済のあり方も問い直されようとしている。こうした問題意識は国連大学の現在の研究テーマとも密接な関連を持っており、筆者はこの観点から10年目を迎えた国連大学の今後の活動について論じることとしたい。占70