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概要

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第1回優秀賞途上国による先進国の教育制度の導入には次に述べるような次元の異なる二つの側面が伴っていた。第一の側面は、教育の機能として本来的な教育効果のほかに、人間を職業に7)割りふる選別的効果を持つ教育制度の移植である。このような選別効果を伴う制度には普遍性があるため,途上国としても内発的にこれを持つにいたったのかもしれない。しかし、途上国の中には中国とタンザニアという例外があり、また何と言ってもこのような制度は旧宗主国の遺産であることは否定できないO選別効果の弊害は先進国においても顕著であり、日本においても大学受験過熱のもたらす弊害は大きい。しかし途上国は国内に二重構造を持ち、圧倒的多数が近代部門(上述のFセクター)-の参入を渇望して、選別機関たる教育機関に殺到し、教育の急激な拡大が発生する。そこに生じる弊害は、(lj教育の拡大によって輩出される高学歴者を短く限定された近代部門が吸収できないことから起きる高学歴失業者問題、また失業者のもたらす政治的不安定性、(2)学歴が高いほど何らかの職を得られる可能性が高まるという事実から発生する教育インフレと教育コストの増大、(8)学歴稼ぎが主目的になるために.本来の教育が疎かになる、という三点に集約され8)よう。途上国が先進国から取り入れた第二の側面は、教育の具体的内容、即ちカリキュラム、教授法、テスト方式等である。それは英語(仏語、その他)と数学を中心とするアカデミズム偏重のカリキュラム、書物を通じての丸暗記教育、一昔前の旧宗主国のテスト制度であり、これらは幾多の変遷を経て現在も存続しているケースが多い。途上国においては圧倒的多数が近代書肝ヨ以外で働かなければならないという自明の事実を考える時、本来近代部門に適したこれらの教育内容は、途上国の開発にとって全く不適当なものと言わざるを得ない。(iv)制度一般植民地としての歴史によって途上国の制度には旧宗主国のそれを継承したものが多hoその中で最も重要なのは継承した政治制度である。ここでは政治制度が開発に与える効果の一般的考察は控え、スリ・ランカを例にとって移植された政治制度の功罪を示唆した注7)K・∫,Arrow,HHigherEduCatjonasafilter",JouT7ZalDfPzLblicEronomks,July1973,pp193-216注8)R.P.ド一丁「学歴社会新しい文明病」松居弘道訳岩波書店1978年pp4-16占5