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概要

satoh

第5回佳作な人々の話題となるような環境づくりが大切なのである。したがって協議会には、かつて海外で活躍した専門家、語学専攻の大学生、相手国の文化や歴史に関心をもつ教師、現役の商社マンなど、できるだけ多分野にわたり参加者を募り、話し合いを重ねることが重要だ。話し合いの中から、さらに次々とわが町村から意外な人材が発掘されるものである。日本では衰退産業だ、やれ時代後れの技術だといわれているものが、実はそれこそ途上国が求めているものであったりもする。昔の町工場の「手まわし機械なら何でも修理」のおじいさんが、実は発展途上国にはもっとも欲しい人材の1人であったりする。川口市からキューポラの火が消えたのは、そう遠い昔ではないが、鋳物は金属工業の基礎であり、発展途上国はそうした熟練者をどれ程欲しがっていたかしれない。残念ながらキューポラの火が消えて、スーパーやパチンコ屋に転業したという記事を読んで、なんと世界的な人的資源の損失かと歯がゆい,思いをLたものである。熱帯の国-行けば、昔懐Lい手まわし式の日本製水かき機が珍重されているし、田舎では足踏み式ミシンしか見向きもされず、農家の人はそれで器用に麦わら帽子を編んでいる。わが町わが村の中では、見向きもされない時代遅れの道具や工夫を、このまま退場させてはいかにも惜しい。その中にはきっと途上国に役立つものがある筈である。資源の世界的活用から言っても、途上国に活かしたいものである。そうした昔からの生産の工夫や生活の知恵は、相手側の生活とこちらの生活を二重写しにつき合わせて、初めて応用の可能性に-タと気がつくものであろう。高額なプロジェクトではなくても、日常生活に直結する工夫が、住民の生活改善にはもっとも効果的だということは、川喜田二郎氏のヒマラヤ山中での飲料水供給設備や、ロープウェーによる運搬方法の考案の例が雄弁に物語っている。個人でわが国の伝統的井戸掘り技術を、せっせと東南アジアに伝えている人もいる。もし日本の地域社会が住民に呼びかけて隠れた人材を発掘し、組織でバックアップして途上国-送り出すことができるならば、かの国の地域社会との群はさらに強まり、長続きもする.問題が生じた場合はやわが町・村flの衆知を集めて解決を考えることができるはずである。送り出された人は、独り相撲でキリキリ舞い651