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概要

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しかも、わが国発展の起爆力「好奇心と適応の才」に加え、最近では「開発の才」までがわが国の前進に一層の弾みをつけている。国際理解とは、わが国の特異性を意識し、外国との発想や習慣の違いを知ることではなく、民族や国籍や貧富の差こそあれ、彼我の違いを超えた人間としての共通の営みを知ろうとする能動的な行為である。言いかえれば、人間として他人の痛みを解ろうとし、痛みと喜びを分かち合おうとする心を根底にする行為である。国際協力はその心から発する具体的行動である。したがって、国際理解も国際協力も、対先進国であれ、また対途上国であれ、その本質において、とらえ方は同じでなければならないoしかしながら、国際理解と協力は昨今の貿易摩擦と関連して、もっぱら対欧米など先進国に、より深く係わり合いのある概念とみなされがちであった。だが実際の世界の繁栄と安定を左右する現代の基本的課題は、プラント報告を引き合いに出すまでもなく、南北問題である。貿易摩擦は背後に産業政策に関する論争はあるものの、大筋は交渉で一応の決着をみる性格のものである。一方、発展途上国問題は、それぞれの国の歴史や社会の成り立ちと密接な関係があり、単に援助額を増やせば解決するといった、一律の処方室では描き切れないほど根は深く、複雑であるoまた常に隣接国に波及する社会不安と混乱の危険をはらんでいる。二国間援助は供与国の輸出振興の一助にすぎないと、受入れに乗り気でない国もある.本来歓迎されるべき援助が、逆に階層間の格差を増大させるといって、現地から非難めいた声があがることも時にはある。国際的な協力で進められた教育の普及が、却って社会秩序の矛盾を認識させ、反体制運動家をせっせと政府が育成し、混乱の種子をまいたという皮肉な例も珍しくない。また旧弊打破の象徴とさえなった農地改革も、結果的に農民は入手Lた土地を手放し、却って農民の窮乏化と商人による大土地所有を促進してしまったという例も少なくない。アフリカの飢える子供の姿が新聞・テレビで報じられ、多額の義援金が集まるなど、国民の国際協力に対する関心も高まっている。途上国間題は単に政府による政策ベースの問題としてだけではなく、それを補う面で国民の知恵を求め、試行錯誤を経ながらも、とも占4占