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概要

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したことである」(ボンダ-、昭和17年、83-84頁)0ボンダーの記述を読むと、そもそも漠然とした印象あるいは断片的な印象を根拠に形成されたのではないかと思われる通念が一人歩きをしている、つまりその通念に人々は盲目的に従い、その通念からしか事実を見ようとしないよくある傾向を窺うことができる。「インドネシア人は怠け者だ」という言葉を聞くとそれを反証するような事実には目をつぶり、却って証明する事実だけを探そうとする。そうして「インドネシア人怠け者」説は「再確認」されていくのである。話を面白くしようとすること自体は罪ではない。しかし、他者の欠点(と話者が思うもの)を大げさに表現して話し相手を喜ばせようとする態度は、いかにその善意が賞賛されようとも、話題の主に対して犯した罪は大きいことを知るべきである.「インドネシア人怠け者」説を始めとしたインドネシア人観はしばしばそのよう状況の中で語られていることも注意しておく必要がある。インドネシア人が必ずしも怠け者でないからには「インドネシア人怠け者」説は正しくないわけだが、若干つけ加えておくべきことがある。この説は働き過ぎる日本人、つまり働いても働いてもな桝荷足できない、仕事にしか生き甲斐を見出せない日本人(戦前のオランダ人もそうだったのかもしれない)から見てのものである。だから日本人より働かない人たちから見れば「日本人は働き過ぎる」という非難も可能である。要するに、勤勉かどうかは自分の文化に基いた判断に他ならないのである。軽蔑なり非難する前に自分の文化の尺度から離れ、多様であり得る事実から結論を下すことが大事である。6.文化的脈絡の中で解釈を「融通がきかない」という批評は、午後三時になったら庭に水を撒くように命じられた下男が、今まさに雨が降ろうとしているにもかかわらず水を撒くのを見た日本人から聞いたものである。私自身も似たような例を知っているから彼の批評がよく判るのだが、残念占10