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概要

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第5回佳作表されよう。これら多くの日本人に共通するインドネシア人観は、当然のことだが、「日本人と比べると」や「日本人と違って」という言葉が暗黙に前置され、従っていずれも日本文化の価値尺度からすれば低い評価を受ける態度ばかりである。5.客観的態度をインドネシア人は怠け者だろうか。この批評が当たらない人たちを私はたくさん知っている。ジャワの農民は夜が開けぬうちに起きて野良仕事に精を出す。主婦もまた炊事、洗濯そして庭掃除に余念がない。農相の中で生活してみると「インドネシア人怠け者」説を唱え出した人はどんな事実を根拠にしたのかと疑いたくなってくるのだ。「木陰でお喋りしたり、昼寝しているインドネシア人を街角でよく見掛けるが、そういう姿は日本では見られない」と言う人がいる。そうだろうか。日本でも昼日中から喫茶店でお喋りに熱中する学生や当てもなくただぶらぶらとウィンドウ・ショッピングするだけの人たちはどの街にもいはしないか。失業者が多いとか労働時間が少ないとか残業をLないなどの事実を挙げる人もいる。だが失業者が多いのはインドネシアの経済事情から、そして労働時間が短いとか残業しないのは生活観から来るものでそれをもって怠け者と決めつけることはできないO仕事にありついた労働者が炎天下黙々と道路工事に従事している姿を見た者は私だけではあるまい。興味深いことに、40年以上も前に同じような指摘がなされている。ボンダーは「東洋に住んでいるヨーロッパ人は、ジャバの住民は手がつけられないほどの患者であると思いこんでいる」と前置きしながら、これに著者自身が観察したところを引き合いに出して次のように反論している。「夜が明けると間もなく、ジャバ人のボーイは朝の茶を持ってくる。しばらくすると髭剃りの水が運ばれる。 -・怠者のジャバ人-だがしかし-不思議なことだ-家の掃除や飾りつけは行き届き、真ちゅうの器具は光っている。汚れたワイシャツもない。庭の芝生は刈りとられ、眺めた感じもいい。しかし、これはみんなジャバ人の占09