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4.インドネシアの日本人在ジャカルタ日本大使館によると1982年10月現在、インドネシア滞在の日本人は7,442名(男5,233名、女2,209名)を数え、そのうちの60%近くに当たる4,350名がジャカルタに滞在しているという(在インドネシア日本国大使館、昭和58年)。私が知り合った日本^はこれらの中の極く僅かでしかないが、その人たちにしばしば見られるのはインドネシア人を軽蔑した態度である。「ジャカルタ駐在の内示をうけた時暗たんたる気持になりましたよ。正直言ってヨーロッパかアメリカあたりの駐在だったら女房も文句言わなかったでしょうな」とある日系企業の社員がこう語ったが、彼の言葉はインドネシアのみならず全ての発展途上国に駐在している多くの日本人の気持を率直に表現しているように思われる。彼らは一目も早く東京-帰れる日を夢にまで見ながら毎日を過ごしているのだ。このような駐在員に任地の文化を幾分かでも理解するよう期待するのは難しい。自らをエリート社員と見なす自尊心の高い人には尚更であるO最初のうちはインドネシア人に背を向け、専ら東京に顔を向け、ジャカルタに住む日本人とだけ付き合っていたが、少しずつインドネシア語を覚え、インドネシアの歴史や文化に関心を持ち始める人もいる。しかし、それらの人達からさえ定型化したインドネシア人観を聞く時、偏見の根強さを痛感せざるを得ないのである.なぜ定型化したインドネシア人観がこうまで広く流布するのであろうか。いうまでもなく自民族中心主義の甑に拘束されているからだが、その他に彼らのインドネシア人観を形成する上で材料を提供しているインドネシア人が多くは運転手、下男、女中などの使用人や街角で見かけるべチャ(三輪辛)の運転手、タバコ売り、店員といった、どちらかといえば下層の人たちだからであろう。ビジネスなどで相手にする人は多くの場合は華僑であるからビジネス面でのインドネシア人観が開けないのは仕方ないとしても、知識人や上層のインドネシア人の例が余り出てこないのが不思議である。ともあれ、定型化したインドネシア人観は、怠け者だ、融通がきかない、何かというとすぐ金品を要求する、時間を守らない、などといった言葉に代占08