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概要

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第5回佳作考える。3.日本人の異文化観先にも触れたように、近代日本は世界の中で逸早く近代化の道を歩んだイギリスを始めとした欧米諸国の文化を称揚し、強い憧れを抱き、その文化要素の多くを導入してきた。今日の日本の物質的繁栄はその並々ならぬ努力が成功した結果である。今日でさえ自然科学や人文社会科学の知識や思想、技術、ファッションなどの摂取は熱心に続けられている。ところで、これら欧米諸国の文化に対して日本人は果たして文化相対主義的態度で接してきただろうか。近代西欧文明の輝かしさに随感され、必要と思う文化要素にのみ目を奪われることはなかったか。そのために私たちの欧米観は近代的な面が誇張された歪みを伴っていなかったか。西欧の文学作品や絵画や音楽を愛する日本人は多い。しかし、欧米文化を担う庶民の民俗を知っている日本人はどれほどいるだろうか。依然として人気のある比較文化の手法による日本文化論で比較の対象とされる国々が、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツにほぼ限られているのも近代日本の来し方を振り返ってみれば驚くに当たらない。同じヨーロッパでも南欧、東欧、北欧の国々の文化に対する認識はかなり断片的になってしまう。更にアジア、アフリカ、ラテン・アメリカ諸国の文化に対してはその傾向は一層強くなるばかりでなく、極めて根強い偏見を以て見てきたことは否めない。私はこの十数年間インドネシアのジャワを中亡Jに文化人類学的調査を続けてきた。その間に経験したことを材料に多くのE]本人が持っているインドネシア人観の具体例を挙げ、それについて文化相対主義の立場から検討を加えてみよう。なお、インドネシアは互いに言葉も異なれば風俗習慣そして気質も異なる多数の民族からなる国家である.本稿でインドネシア人という時それはジャワ人を主に意味していることを断っておきたい。占07