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概要

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第5回佳作「異文化との乱蝶の中で」染谷臣道要約文化は人間存在にとって欠くことのできないものであるがゆえに、先祖伝来の独自の文化に育まれてきたそれぞれの民族は、自らの文化を最もよきものとする自民族中心主義的態度をとる。ところが、この日民族中心主義そのものが異文化と接触した際には障害となりがちである。従って、異文化同士の接触が日常的になっている今日では、いかなる民族といえども白民族中心主義を保持しつつ、同時にその超越も実践しなければならないというディレンマ忙直面している。この難問を乗り越えるために、文化人類学者がフィールド・ワークでとってきた文化相対主義的態度が役に立つだろう。文化相対主義とは、客観的態度を以て、対象となっている文化のいわばその内側から、あるいは文化の体系的連関を考慮しながら文化的現象を理解しようとする方法である。そこでは、研究者は寛容と尊敬の念を以て異文化に接し、自己の文化から離脱し、むしろ相手の文化の自民族中心主義に立って文化的現象を観察するのである。この方法の有効性は、欧米の文化であれ発展途上国のそれであれ、より正しい文化理解-と私たちを導くところにある。とりわけ、根強い偏見を以て見られている発展途上国の文化に対する私たちの態度を矯正する上で有効である。この方法で異文化を見ることによって一般に流布している俗説が往々にして根拠が薄弱であったり、断片的な観察や解釈に基づいたものであることを知る。そのことは本稿で取り扱う二、三の例でも明白である。占01