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概要

satoh

ましい連携ぶりを見せている。70年代には、南北問題の拡大とともに、開発途上国の分極化が顕著となり、新たに南々問題が発生した.こうして、国際社会は、一層、多極化の様相を呈してきたのである。国際社会の構造変革を、今度は、個人のレベルでとらえてみると、まず、開発、軍縮、反核、人権、環境、エネルギー、婦人といった様々な問題に、国境を超えて主体的に関わる人々が著しく増加したことが注目されよう.草の根の市民組織、言い換えれば、NCO(Non-GoveramentalOrganization)の活動も活発化し、国際社会において果たす役割はますます大きくなっている。かつては、権力による支配や抑圧の対象でしかなかった人々が、今日では自立した主体として、白己の解放、社会の変革のために立ち上がり、連携す6)るようになったのである。以上見てきたように、現代の国際社会では、個人から、超国家組織に至るまで、嫌々な7)行為体が多次元的に、交流、連帯や対抗を行っていると言えよう。このような観点に立ち、もう一度、今Elの日本の教育の現状をふり返ることにしたいO今日の教育には、世界の現実を認識させ、共通の関心、共通の理解を育む努力が欠けていると思われる。同時に、この関心の共有が導くであろう、社会-の「参加」、社会との「連帯」といった経験を与える環境が備わっていないことも指摘できよう。デューイいわく、学校環境の任務は、社会環境における様々な要素の均衡を保たせ、また各個人が自分の生まれた社会集団の限界を脱して、一層広い環境と、生きたふれあいのできる機会を持8)てるように取り囲らうことなのである。さらに言えば、今日の教育には、長い歴史の流れの中で、今、この時に地球上に生きる者の一人とLて、いかに歴史の歩みに自らの生を重ねてゆくか、すなわち、歴史創造に参加していくかといった視点が欠落Lている。換言すれば、21世紀に向けて,自分はどう生きていくべきか、地球全体に及ぶ問題をどう考えていかなければならないかという問題が、学校教育の中では、重要性をもって取り上げられていないのである。540注6)馬場伸也,『アイデンティティの国際政治学』東大出版会,1980,250ページ荘7)同上書,261ページ琵8)JolmⅠkwey,前掲書,57べ-ジ