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概要

satoh

第5回優秀賞1973年から1974年にかけて起こった石油危機は、他国の政策決定が、我が家の家計に直接大きな影響を与え、両者は決して無関係ではないこと、そして日本経済の安定及び発展は、他国との良好な関係なくしてあり得ないことを我々に再確認させた。中東産油諸国に見られる資源ナショナリズムの台頭は、石油が有限でしかも再生不可能な資源であり、将来枯渇する時が必ず来るだろうということを我々に気づかせた。また同時に、開発途上諸国の存在を国際舞台において大き(クローズアップさせることにもな2)り、実際、国際連合等における開発途上国の発言力は、格段に強まった。しかしながら、この10年の間に、「南」の開発途上国と「北」の先進工業国との間の経済格差は一層拡大したのである。干ばつ、紛争等の理由により、現在、アフリカ諸国は深刻な飢餓に見舞われている。開発途上国の膨大な累積債務は、世界経済全体を揺るがす大問題となり、開発途上国の3)みならず先進国経済にも大きな影響を与えている.途上国の抱える問題は、先進国にとっても重大な問題である。言い換えれば、もはや自国の利益のみを追求していては生存できないのである。こうした相互依存関係を強調した考え方が次第に重視されるようになり、この観点にたって、南北問題が理解されはじめた。一方、日本は、現在、GNP世界第2位という経済力を持つに至ったo他の先進諸国が失業の増大、インフレ等自国に深刻な問題を抱えている中で、経常収支黒字幅の拡大等、比較的順調で定安した経済情勢にある日本に対しては、賞賛の声がある一方で、非難や不満も多く、経済摩擦が顕在化している。また、企業の国際化・多国籍化が進み、巨大多国籍企業が、開発途上国においても目立った活動ぶりを展開しているが、日本企業もまた例外ではなく、そうした海外進出が、相手国において問題となることもある。このような事情に鑑み、日本に対して、国際社会において経済力に見合った責任を果たすよう求める国際世論も強まっている。を期待する声が強い。とりわけ開発途上国からは、より一層の経済協力日本の開発途上国に対する援助は、質・量ともに徐々に拡充されつつあり、1983年の途往2)一国一票主義がとられる国連の境では,数の上で圧倒的優勢にある開発途上国AlJは,自らの主張を通しやすvlo「新国際経済秩序の樹立に関する宣言」(1974年)「国家間経済権利義務憲章」(1974年)「UNIDOリマ宣言」(1975年)が採択されている。注3)非産油途上国の累積債務は,82年には6,124億ドルに達している。通商産業省『経済協力の現状と問題点』1983年,9ページ533