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概要

satoh

伝統的農法に依存している大多数の農民にとっては、外部からもたらされる全く新Lい技術よりもむしろ、在来農法に連続した形での技術改良こそが適用可能性という点から重要である。在来農法は時代遅れのものとして近年に至るまでは性とんど関心が払われることがなかったが、現在必要なのは農民がおかれている環境と利用可能な資源の範囲内で生み出されてきた内生的要因としての伝統的農法の近代科学に照らしての再検討であり、そこに出発点をおく技術改良であろう。農業の場合、工業技術に比して現地の条件の影響が強く、しかも独立して意思決定を行うべき農民の熟練度や教育水準が低いことを考慮に入れると、従来技術の漸進的変革による技術進歩は近代技術の移植に比べより大きな浸透力をもつと考えられる。このような形での技術改良の必要性は最近ようやく低コスト技術・あるいは中間技術-の要請となって現われている。この種の技術は単にコストが安いという経済的意味だけでなく、現地の社会的、文化的環境-の適合性をも加味した上で真に発展途上国がもつ条件に合致したものであるという点に意義がある。そうした意味で、これらの技術は中間技術、または適正技術とよばれている。この適正技術は、たとえ同じ国であってもその経済、社会が変化すると、当然適正技術の内容も修正を受けることになる。今後は、これらの適正技術の開発を通して発展途上国の「発展」に多大の寄与をなしうるであろう。「後進国」「低開発国」から「発展途上国」という単に言葉の上の変化だけでなく、真の発展途上国となるだろう0しかし、適正技術の責の意義は、発展途上国がその生産資源の効率的利用によって開発を進めるための手段を提供するにとどまらず、発展途上国内部の研究開発能力の育成を促進することにある。輸入技術-の依存は現地の技術革新を蔑視し、技術改且-の意欲を損喪せしめ、発展途上国の研究開発能力の発達を阻害してきた。これに反し、各国の条件に適した生産過程の選択は、既存の科学技術研究の成果についての知識だけでなく、開発目的および現地の条件に関する明確な理解を基礎にしてのみ可能であり、これをよくなしうるのは現地の人々34