ブックタイトルsatoh

ページ
33/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている33ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

第1回最優秀賞対する直接借款中延払輸出が行われた程度にすぎなかった。今後は、アジア開発銀行に対する出資、同銀行に1968年に東南アジア開発閣僚会議の要請によって設置された農業特別基金への拠出などを通じて、多国間方式によるさらに大幅な資本協力を行うべきである。物と違って、様々な用途に利用可能な資本の援助は、短期的で実効性が高く無駄のない援助方法である。発展途上国経済では、高い人口増加率は、低成長の要因であるにもかかわらず、高い成長率を要求することになる。しかも、自給的色彩の濃い小農セクターを主とする農業を、経済の支柱とする開発途上諸国では、必要成長率を短期間のうちに満足させられるような成長を実現することは困難といえる。小農経済における商品化しうる余剰の僅少さ、平均及び限界消費性向の高さなどを考慮すれば、国内における資本形成の困難さは、十分に想像できる。したがってここに援助による外国資本の流入の増大の必要性を経済成長の加速要因として不可欠なものとなってくるのである。先進諸国の中でも、自由主義陣営ではGNP第2位を誇れる日本は、国際水準並みどころか、GNPの1%にまで援助額を引き上げ、それを達成するための努力と援助条件の緩和を行うべきである。このような政府の思い切った施策は、国民のコンセンサスを得た喜ばしい血税の使途として誰からも歓迎されるであろうことは信じて疑わない。資本援助は政府によるものに駆る必要はないO民間の企業団体にしても発展途上国から得た多大な利益を、今度は飢えのために生死の境をさ迷う同じ発展途上国の人々に還元するだけの「余裕」が必要である。金額の多少にかかわらず、目先の利潤にこだわらずに、グローバルな視野からの同胞達-の友愛の情を示すだけの「余裕」を持って欲しいものである。さらに、前述の犬養道子さんのように、民間の援助団体を組織したり、地域ぐるみで募金活動を行ったりすることによって、さらになにがしかの資金を調達できるであろう。都市化に伴う人間関係の冷却化も、こういった地域ぐるみの援助活動を基盤にした新しいコミュニティづくりを行えば、斬新で温かい人間関係の輪が広がってゆき、強い地域内の適31