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概要

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第1回最優秀賞の事情が日本の「国益」を他の先進諸国とかなり違ったものにしたといえる。その日本の特殊な国情とは、要約すれば次の様になる。(1)孤立したアジアにおける唯一の先進国であるということ。(a)世界最大の資源不足型輸出工業国であるということo(引これまで長い間、世界の先進諸国の中の後発国であったということ。などであるoこのような日本の特殊事情は、発展途上国に対するE]本の援助ないし、協力活動にも他の先進諸国の場合とは違った性格を与えてきた。具休的には、まず、日本はその経済的繁栄を維持するために、一般の先進諸国よりも海外の輸出市場、および資源に依存する必要示高く、しかも先進諸国の中では、孤立した存在である関係から、発展途上国に依存する度合が高いOこのような事情から、日本の援助ないし協力活動においでは、前述したように、他の先進諸国の場合に比較して経済的利害が前面に出る傾向が強くなる。いわゆる輸出奨励-資源確保型の援助、協力となる。その反面、農業分野での援助、協力のように、日本の輸出および資源確保-の貢献度が低く、しかも国内農業との摩擦を起こしやすいものは軽視されてきた。輸出振興や資源確保の必要性を身をもって痛感するのは民間企業であり、延払輸出や資源開発のための投資など民間部門の援助、協力活動が主力となり、政府部門の援助、協力が相対的に少ないという特色が生じてくる。また、資本協力が主で、技術協力が少ないことも特色の1つである。次に、日本が後発先進国であるという事情は、国内に保護政策の対象となる農業や中小企業のような弱い産業部門の規模の拡大化に努め、「国益」が目先の短期的利害に偏ったという事実が、日本の援助.協力活動に少なからぬ影響を与えてきたのであった.日本は、長い間、農業分野での援助ないし協力活動を重視しなかった。それは、この分野での活動が輸出振興にも資源確保にも余り役立たなかったからであるが、それだけでなく、そうすることが海外農業の圧力から日本農業を保護する道でもあったからである。また、この分野で実施した援助、協力活動は、日本農業とかかわりの少ない食糧増産-の協27