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概要

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る動きが活発になってきたことである。それは主として世界的な交通、情報、人的交流の発達、宇宙開発、環境汚染問題などに刺激されて,人類の同胞意識が観念的に進んできたことによるものである。天災、戦災などに対する援助活動は、国益や利害関係云々の問題を度外視した人道的理由以外の何ものでもない動機づけによるものであるべきだ。人道的理由といえば、昨年12月、自ら発起人となった「スプーン一杯の会」で集まった1000万円を携えて、 1人タイに赴いた犬養道子さんを思い起こす。なるほど、犬養女史の携えた金額は、現地の難民を救うには、「スプーン一杯」程のささやかな援助額であったかもしれない。しかし、彼女の勇気ある提言と力強い実行力とに支えられた援助、奉仕活動は、我々日本国民にとって、人道的理由が如何に大切かを痛感させられた点で、極めて意義深いことといえる0第2節従来の援助のあり方の反省現在、日本は名実共に世界の先進国の一員であることに誰も疑いを抱く人はいないだろう。日本は、戦争直後の賠償支払いに始まって、これまで、発展途上諸国-の援助ないL協力を続けてきたが、今後はさらに充実した援助、協力を推進してゆかねばならない。いやそれどころか、世界経済における日本の地位向上に伴って,日本に対する援助の期待.協力の要請はますます高まる一方であろう。このような状況のもとで、食糧問題の解決に関する日本の立場というものを、いわば原点に立ち戻って反省し、協力の新しいあり方を模索してみよう。日本の従来までの援助、協力には、なんらかの意味において「国益」に貢献するところに存在理由があった.過去の「匡は左」に関して、第1に指摘すべきことは、必ずしも国内の各利益集団の間のコンセンサスによって裏付けられた、明確で首尾一貫したものではなかったのである。概してそれは、農業と商工業という対立する産業部門の中では、商工業の利害を優先し、大企業と中小企業という対立する企業群の中では大企業の利害を優先するような意味の「国益」であった。第2に指摘すべきことは、日本は先進諸国の中でも非常にユニークな存在であって、こ28