ブックタイトルsatoh

ページ
274/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている274ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

によるものであろうと思う。●■●しかし、実はそうした「個」の力とか心情とかいうものは、目に見えない大きなうねりの前には極めて無力な存在であるばかりか、その「個」がひとたび理性を失い、心のバランスを無くした時は、平常では到底考えも及ばない暴走をする場合があるものである。そうした中にあって、とにもかくにも37年という長い年月の間、地球上で大戦争を回避できた陰には、国連の存在というものが,あずかって大きな力となっていたことは間違いなく、それをあえて否定する者はいないだろうOしかるにその国連が、今や「幻滅と失望」の場と受けとられるようになったのは何故か。端的に言うと、参加各国が、大きな時流や変化に対応しようとする努力を怠ったことと、既存の枠組みに固執して来た強大国のエゴがあり、大国主導の運営システムを突き崩せなかった小国の非力さの結果であると言わざるを得ない。その具体的なものの一つに、米、パ中、英など第二次世界大戦での戦勝側の大国が握っている「拒否権」がある。しかもこの拒否権が、拒否権を保持している大国間相互の主導権争いや、かけひきの道具に使われていた時点では、まだいささかの救いがあったが、それが国連全体の運用の中で、自国にとって都合の悪いことがらについては、たとえそれが、万人が公平と認めるような案件の討議採決にあたってさえも拒否権を発動するに至った.したがってそういう状態での国連運営は、国連がもはや集団を律する公正な「場」でも手段でも無くなり、武力を行使する以上に非合理的制度または存在となって、それが国連自身が活力と信頼をも併せ失う結果になったのだと考える。国連大学は、国連問題について研究討議するにあたって、その第一着手として、この拒否権の一時停止又は棚上げの方策と可能性をさぐらなければならない0国連における諸会議や討議が、これまでのように他国の誹講や中傷に終始するのでなく、貞面目に、スムーズに行われるようになることが国連白身の再生の道であり、活力と信頼を回復するための唯一つの手段であると思う。272