ブックタイトルsatoh

ページ
269/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている269ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

第3回佳作あり、素朴な倫理が存在している。しかるに、自らを"霊長類"として分類した人間界はどうか。満腹しても摘腹しても尚飽くことを知らず、更に食を蓄え、財を積みテリトリーと権力の拡大に血道をあげ、すべてのことにおいて常に他より優位に立つことばかりを考えている。そればかりか、他の動物の世界では余程特殊な場合を除いては行われないという、同族相食む(殺りく)の愚を、人間は過去において繰り返し繰り返し行って来た。そればかりか、将来に備えて用意(軍備)おさおさ怠りないのであるOそこにあるのはただ力の論理だけで、ルールも倫理も一顧だにされな(なった。そして、そうした誤った判断のもとでの、果てしない欲望と鏑りの心は、時間の経過と共にその度合いを増すばかりで、結果としての社会悪、環境の破壊、国際間の紛争の根源をなして来た。もし現在のままの状態に何等反省が加えられないまま時の経過に委ねられてゆくならば、人間は自らの手で人類を滅亡に導き、地球全体、更には宇宙をも汚染滅亡に垂らしむるかも知れないのであるoLかし、人間がもし、自らが分類したり霊長類"としての自覚のもとに、その誇りと責任を痛感することができるなら、必ずしも望みが無い訳ではない。謙虚な反省と、人間性の回復によって、その本来の英知を取り戻し、科学技術の進歩が、あたかも人間白身の進歩であるかの如く思い違いしていたその過ちに気づき、過去のいまわしい人間の歴史を絶ち切って、新しい世界史の展開に努力すれば、必ずや明るい将来が約束されると思う。現在は、政治、経済、科学技術、教育、宗教などの各分野で、世界の指導者を以て自ら任ずる人達が、それぞれ神より与えられた各自の使命を忘れ、自分をも見失っている時代であると思う。私は今、国連大学が「世界の軍縮と、安全保障」に関しての研究に当って、その基本にこのことを据え、既存の常識の域を踏み出して、色々な理論や技術や方法に先立って、「人間性の回復」の道を研究し、各界の指導者を啓蒙するとともに、その反省を求め、アッピールする方策を見つけ出すべきだと考える。以下私が述べんとすることは、或は極めて実施困難な理想論かも知れない。しかし理想を追究しない研究などあり得ないと思う。2占7