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概要

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4.結語われわれは現在、国際連合という秀れた機関をもち、国連憲章という立派な憲章をもっている。そして世界の各国が進んで国連憲章を認めたという事実を高く評価する。現在、国連は、やや影が薄い存在になっているとはいえ、やはり、人類が伝えるべき唯一の機関である。国連が影響力を今、余り持っていないのは運用が悪いためである。一つには、世界の人びとに積極的に国連の活動を伝えていないからであり、一つには、国連の原則を徹底させていないためである。この後者に関しては国連大学が大いに研究をして、国連に本来の秀れた役割を果たさせる必要がある。国連の原則が徹底していない理由は、国際間の問顕に科学的にならないからである。何故に科学的でないか。科学的でないのを悪と思わない認識がある。これはあるいは西欧の伝統に由来するのかもしれず、西欧が科学の精神とともに「主張は美徳」を原理としているためであるように思われる。国連大学はこのような根源的なところにまで遡って、問題を研究すべきであろう。わが国は「主張は美徳」を原理とせず、生ぬるいけれども、科学の精神一本の一つの原理の国である。国連大学が日本に設置されたという、いわば偶然的事実も、この問題を扱う契機となっているのではなかろうか。国連の原則を徹底させるとき、国内法の効力と相まって、武力によらなくても国を護ることができることが示される。これは軍縮を志向しながらも、万一の不安のために容易にふみ出せない気特をもつ世界の人々をして、安心して軍縮に向わしめるものである。国連大学はここでも、それをより確実にするための方法の研究で、大きな貢献をすることができる。そして国連大学は平和学の論理的センターとして、益々重きを置かれるようになるであろう。平和を研究する機関はいろいろあるようだが、その多くは戦略の研究に過ぎないのではなかろうか。例えば、イギリス・ブラッドフォード大学の平和研究所などというのが注目されているようであるが、これは「ソ連・東欧軍が地上侵攻した場合に、まず侵攻させ、2占0