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概要

satoh

第3回佳作も、手当ての限りを尽して努力するのが当然である。難病に治療の解決方法がないとき、人智を傾け、ほんのちょっとした手懸りをもおろそかにせず、努力に努力を重ねて、ついに治療法の発見に到り、病気を克服してきた、というのが人間の歴史である。問題は医学に限らない。科学・技術みんなそうだ。それが非・自然科学の問題となると、一転して、この科学の方法を放榔するのは、おかしいではないか。私は自然科学とそれ以外の分野とで態度方法を分ける、というのは人間性に反する行為であるがゆえに、間違っていると思う。自然科学の分野でわれわれは、事実に即してあくまでも論理的になることを要求される。一見、考えにくくても、そう考えることが論理であると、「自然」に指摘されれば、われわれは謙虚にならざるを得ない。悪意的なやり方をすれば問題の解決にならないだけだから。こうしてわれわれは道理に従って、量子力学も相対論も超伝導も発見し理解してきた。だから、自然科学以外の問題でも道理に従うのが当然である。ところがそこでは、別のやり方が支配しているとなると、われわれはそこでは、わが理性をゆがめなければならないのを知る。人間性をゆがめられる苦痛は、本来革命すらをしても解消させねばならないところである.もちろん革命は道理に反するから論外であるけれども,道理に反するやり方が横行する、というのはそのくらい間違っていて、そのくらvl大きな問題である、ということをまず指摘しておきたいo国際問題となると途端に非科学的になり、それが当り前であるとして人も疑わない-その例として私はスパイ事件をあげる。衆知のようにスパイで被害を受けると、被害国はそれが卑劣だとして攻撃する。しかしそれならその被害国がスパイをしないかというと、そうではなく、いかに巧妙にそれをやるかで腐心するOこれは矛盾ではないか。こういうことはアメリカもソビエトもやっている。先達てアメリカで産業スパイをやったとして、わが国のメーカーが摘発されるということがあった。すると日本人は卑劣である、という声がアメリカにわき上る。あるいはアメリカはオトリを使ってでも不正を根絶する正義感の国である、という識者の声が出されたりする。しかしそのアメリカはスパイのみならず、工作員をも外国に派遣している、とい249