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概要

satoh

第3回佳作は戦勝国が戦敗国に課するだけで、少しも公平ではない、やはり力のみが正義である、という。たしかに国連憲章をはじめとする国際法に強制力がないのは事実である。しかし、だからといって、世界の国々は全く悪意的な行動がとれるであろうか。それは大違いである。国家は、いかなる国家であろうとも、論理にしぼられる。極端なことをいうと、泥棒の集団でも、内部では嘘をいってはいけないのである。嘘をいうとき、集団はもはや、崩壊せざるを得ない。まして国家の場合には、一度表明した発言には全て縛られる。われわれはそれを、教科書問題をめぐる最近の日本政府の動きに、つぶさに見たばかりである。一度締結した日中あるいは、日韓の条約に反する行動を、わが国政府はとることはできない。一国の政府の悪意を規制するのは、条約遵守の原則であり、国際世論であり、国内世論であり、更には国内の政敵である。要するに、論理に破綻を来すとき、非論理が攻撃されるのは当然であり、攻撃がいかに鋭いか、攻撃力がいかに強いかは、人々の意識に左右される。人が事柄をよく知っていればいるだけ,また論理に敏感であればある程、攻撃は猛烈になり、非論理側の糊塗は不可能になる。教科書問題で韓国は最初、非公式的に穏便に事を済まそうとしたけれども、それで済まなくなったのは、韓国民の眼がそのゴマカシを許さかったからである。世界の自覚した人間の眼をゴマカスことができなくなっているということ、これは当然であるO「それでも地球は回る」と同様で、それは人の理性を"言いくるめ"や脅迫で、ねじまげ押えつけられないことと同等である。そこで、いかに多くの自覚した人間の眼を養うか、がこの間題の鍵となる。なお、自衛の規程が暖味にされている現在でも、自衛の限度というのは世界の国々に充分自覚されており、それは過去の侵略のようなものを決して許さないものであるO先頃、イスラエルが自衛のためと称して、イラクの原子爆弾製造の可能性を全く無くするよう、建設中のイラク原子炉を攻撃したとき、世界中の国々は、イスラエルに制裁を加えるか否かは別として、非難するという点では全く一致したのであった。そこで私が先程述べたように、国家がその過去の主張に縛られるという論理を、再び繰り返すならば、あの種の武247