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2.国連という機構とその力とを如何に認識するか前節に述べたように、問題は国連についての認識から出発する。そもそも人の行動を決定するものは認識である。昔、われわれは、米英を頁に鬼畜と思ったから立ち上ったのであり、一身を榔つ特攻攻撃をする人も出たのである。しかしわれわれはいま、人間として観に訴えることなど到底考えられない状態になっているから、われわれの父祖が半世紀前に南京大虐殺を行ったと聞かされても、それが本当だったと中々信じられない。あたかも異人種の古い蛮行を聞かされたような感じがするのである。(だから'45年のソ連兵の滴洲での野蛮な行為も、彼等が物質的に窮乏していたからという他、憎いファシスト国民にはどんな仕打ちをしても構わないと、当時本気で思い込んだ結果であろうと容易に解釈できる。)さて、国連は言うまでもなく、人煙の平和と解放の欲求が結実したものである.平和であり、解放されることが本来の人間性に基くゆえに、この進歩は決して後退させられない。それを説明するものとして、国際連盟から国連-の歴史を見てもよいし、人間解放の歴史を見てもよいが、ここでは後者を用いることにしようか。ジョン・ロックは人間が平等であることを示すために、「アダムが仮に特別な権利を持っていたとしても、子供にはそれがない。仮に子供にそれがあるとしても、そのうちで誰が特別な権利を持つかは言えない。仮にそれが言えるとしても、アダムの後商の中で長子系に属するのが何人であるかは、もう長い間全然不明となっている」というような、まわりくどい議論を使わなければならなかった。しかし、それが-たび理解され七くると、今度は人々が自由を求めて、アメリカに渡るのを阻止することはもう不可能である。自由を基調とする合衆国建設をとどめる力はとうにない。この自由は最初、白人だけのものであったが、それが不合理であるのは誰の目にも明らかであるから、奴隷制度は廃止され、人種を問わず自由を与えざるを得なくなった。1946年、チャーチルとルーズベルトが大西洋憲章を発表して民族自決を宣言したとき、244