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概要

satoh

第3回佳作のであった.だから国連憲章に於いてをや、である。一般の人々は憲章について無知であるくらいであるから、憲章を支える膨大な決議や条約については、尚更知らない0第-それは新聞にすら、目立つ形で載らないのである。だから国連といえば、よくて国際間のセレモニーの場所、あるいは取引きの場としか考えられていない.まLて国連大学といえば、お飾り以上の何物とも受けとられていないのである。人びとの認識がこのようなものであるため、平和-のアプローチは二分化されている。一つは力によるものであり、平時には潜在的脅威であることを、また有時には強大な破壊力であることを目ぎすものである。もう一つは、ひたすら心情的に平和を訴えるもので、極端に言えば平和のための歌を歌い.平和のための詩を朗読し、ムード以外、頼るべき方法を考えていないかの如くである。もちろん一般の人々はこの中間に位置し、適当に両者を按分して中庸をはかる。しかし要するに、昔ながらの認識Lか持たないために、軍縮といえば、軍事力のバランスのみが判断の基準となる。1920年代の5I5・3から一歩も出ていないのである。現代はいうまでもなく、危機的状況にある。軍事破壊力の強大さは、地球上の人々を悉く何十回も殺教する程に達し.しかもそれが瞬時の機械操作でなされうる。過去の大赦をいわば局地戦とでも見直さねばならぬほど、いま軍事的規模の変化が生じているというのに、軍縮の進展は全く見られない。この危機的状況の原因はどこにあるのか。私は、それは人々の認識に由来する、と思う。既に見てきたように、人々は現状についての正しい認識をもたず、古くからの戦争観に固執する。"人類の進歩についで'とか、"人類の進歩とはどういう必然的な動きであるか"とかについての明確な意識をもたないoLかも政治を動かすのは多数の声であるから、せっかく国連憲章というような立派なものがありながら、それを知らない多くの人によってそれが押し流されてしまう。従って現在の状況を変えるには、人々の認識を変えねばならない。それは偏見さえ除けば、決して達成され得ない程の難事ではないと思う。243