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概要

satoh

第1回最優秀賞慢すれば、飽食はあっても飢餓に苦しむなどということはまず考えられないであろう。食糧問題は、本当に切実な問題であるのか。それは、豊かな社会における今はやりの新型SFにすぎないのだろうか。我々は、食糧問題について論じる時、それは、我が国においてのみでなく、人類全体のレベルで考えなければならないことや、現在の時点ではなく、十年、数十牢、あるいは何世紀とL,う長い長い歴史的な目で眺めなければならない問題であることを知るべきだろう.我々はその日でもって、食糧間在と取り組まねばならない。1972年から'73年にかけて異常気象が世界各地を襲い、アフリカ、アジア、南米、ソ連、太平洋諸国などの多くの地域を早魅や洪水に陥れ、そのためにアフリカや南アジアなどででは、実に数千万の人々が飢餓に瀕し、数十万の人々が餓死Lたと伝えられた.ほんの何年か前に数十万という人々が飢えのために絶命したという事実以上に注目すべきことは、このような地域では、もともと水の不足地帯で、早魅は慢性化し、従って飢えに苦しむ人々の数も、慢性的に数十万、数百万と存在しているという厳然とした事実であるO'72年から'73年にかけての餓死者や飢餓にさいなまれる人々の数が、例年より多かったにすぎなかったというだけに、事態は一層深刻な様相を呈しているOさらに天災、戦災が追いうちをかけるようにして、飢餓問題を深刻化させていることも考慮に入れなければならないだろうoさらに詳細に飢餓問題にアプローチしてみると、体の機能を維持するための必要栄養量は、個々人によって異なり、一般化は困難であり、現在世界に栄養不良に苦しんでいる人々がどの程度あるかについての正確な数字は必ずしも意見の一致はない。栄養問題に関L最も重要なのは、カロリーと蛋白質の不足である。資料がやや古いが、1970年において栄養不良人口はアジアの計画経済国を除く全世界で4億6200万人に達したと推定されている。他方、国連労働機関(ILO)の「雇用、成長および基本的ニーズ」(1976年刊)によると、市場経済発展途上国において極度の栄養不良状態にある人口は1972年において7億600万人にのぼり、その70%がアジアに集中しているという統計を示している。21