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概要

satoh

第3回優秀賞ガスト・丁ノレパイタ-してしまう程、急速に進んで来た。多国籍企業、外国人労働者、民際外交などの現象はその典型的なものである。この間題は本稿と直接には関係しないが、非軍事的安全保障という視点からの考察などもある(例えば、馬場伸也)0これに対し「南」が直面しているのは、国民国家制が適切に運用され得る程、国家体制が「近代化」ないし「西欧化」されていないという問題である。例えば事実上の独裁国家や軍事政権が、充分な国民社会の成熟や民主主義の理解に欠けた「南」の国々に多いことはその一つの表われであり、これらの国々では、政情不安、軍の台頭、軍事政権、軍拡・戦争といった形で「パターより大砲」の政策がエスカレートすることが多い。また、比較的安定しているブラジルやフィリピンのような国においても、通常兵器の軍拡は進行中であり、インド、パキスタン、イスラエル、リビアなどは、核武装の道を歩み始めている。こうした事実の指摘は、何も「南」を悪役に仕立てて万事を説明するためにしているのではない。むしろ「北」に関わる二つの問題を指摘するための序論なのである。第一に、「北」においては比較的安定し成熟した民主主義(「東」では人民民主主義)があるため、軍拡・戦争に向って国家が独走する危険性は小さい(無い訳ではない)。さらに経済的・文化的国際化の進行が、複雑な国際的相互依存関係を(体制の違いさえ超えて)築いており、破壊的軍事行動が平和共存に比べて遥かに割の合わないものとなっている。その上、「北」と「東」の間では、幸か不幸か、核兵器により、最悪の場合は世界の破滅にまで至る体制が完成されているため、その抑止力が働いて、通常兵器による偶発的な武力衝突が起こり難い情況になっている。このように「北」は、たとえ軍拡が行われても、その結果が戦争に直結しなvlのが普通であり、「北」は、全世界を破滅させる最終戦争を別として、自国を戦場とはしないのである。そして、この平和という基盤の上に、経済的繁栄と高い生活水準、そして浪費型文化が花開いているのである0さらに第二に、こうした「北」や「東」の一部の繁栄が、直接的・間接的に「南」に犠牲を強いて成り立っていること、そしてその最たるものが、先進国による武器輸出であることは忘れてはならない。東西冷戦期によく持ち出された「代理戦争」という考え方は、227