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概要

satoh

いま世界の安全を脅やかしている南北間、南々問の経済的社会的格差の縮小に大きく貢献できるはずである。世界の人口の4分の3の約30億人が南半球の開発途上地域に住んでおり、そのうちの約20億人の基本的人権と自由は遵守されておらず、そのうちの約10億人は、飢餓、伝染病、貧困、文盲等の悲惨と絶望の中で生存しており、そのうちの約6億5,000万人は、餓死寸前の状態で生存そのものを脅かされている。これだけ多くの人々を貧困や飢餓の状態に放置したままで、どうして世界の安全は保障されよう。国連大学の創設を提言したり・タント元国連事務総長は、その著、『世界平和のために』の中で、「一方の方向には国際協力によって飢え、貧困、無知、病気といった敵から永久に解放された世界を築こうという構想の実現があり、他の方向には、この協力を欠いているために惨禍につながる道がある」と述べ、国際協力による平和な世界の建設を強く訴えている。ウ・タントは、「性格的にも真に国際的で、なおかつ平和と進歩という国連憲章の目狗に献身する国連大学の創設」を構想していた.この国連大学にとって、いま軍拡にとって代るべき国際協力についての実践的研究を行うことは、その使命の遂行であると思う。私は、1974年から1978年までの四年間、コロンボ・プランの経営開発プロジェクトにもとづいて、日本政府の海外技術協力専門家として、マレーシア生産性本部に派遣され、産業開発や経営開発に関する診断、指導、訓練、調査、計画立案などの国際協力の仕事に従事した。また1979年には、世界経営協議会の民間経営専門家としてヨルダン精油所に派遣され、経営組織開発に関するコンサルティング活動に従事した。このような開発途上国-の技術協力活動の体験を通じて、私は国際協力が、途上国の国づくりや人づくりに極めて有効であるばかりでなく、国際平和の維持・達成に大きな役割を果し得ることを学ぶことができた。国際協力は、言語、文化、宗教、風俗慣習、経済発展の段階等異質の壁を乗り越えて、異民族間の相互理解と連帯を深めることができる。さらに国際協力は、心と心、人と人との交流を通じて行われるので、平和な人間関係を創造206