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概要

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のアミルカル、0.ユレラらを中心としたグループによって発表されたが、価値が明示的に取り上げられており、世界モデルの政治性、価値志向性が特に顕著となっている。研究の契機は先に発表されたMITモデルの分析であったが、資源有限論を基本にしたMITモデルとは異なる認識の上に立っている。すなわち、「地球社会の直面している主要問題は、物理的なものではなくて、社会政治的なものである。それは国家間ならびに国内での2)権力の不平等な分配にもとづいている」という見解である。さらに、規範的モデルであることを明言した上で、平等主義的な自由社会創出のための可能性を検討している。栄養、Fi.-a住宅、教育、保健という基本的要求(このことばは76年のILO報告書以来「基本ニーズ」として広く受け入れられた)を満たすために、複数のセクターからなる生産システムを表現するモデルを作成し、その具休案を示したのである。特に人口は内生変数として処23)理されており、「人口増加を制御する唯一の正しい方策は生活水準の改善である」という仮説を掲げている。上記の仮説と、生活水準の改善のためには人口抑制が前提である、という見解の間には根本的な認識の相違があるように思われる。ともに理性的で良識ある人びとによって出されたこの見解の相違は、最も深い部分での「北」と「南」の認識の調整がまだ出来ていないことの証左であるともいえよう.近年の開発に関する「基本ニーズ」方式についての論争も、南北間の究極的な合意と連帯がまだ生じていないことを示している。この問題に過度の楽観は禁物であろう。不信や疑惑、白己本位な発想は人間の本性の一部分でもある。しかし、共存や利他、友愛の心情も人間の本性であり、これらを呼び起こす粘り強い理性の説得があれば、合意は決して不可能ではないと思われる。これには長い時間が必要と考えられるが、明るい材料がないわけではない。統合化は、文化や日常生活の分野でも進んでおり、特に若年層の間では音楽、服装、食生活などで共通の傾向が見られる。集団の個性ともいえる伝統的な文化や芸能を保持した上で共通部分が拡大するとすれば、相互理解を促進する重要な基盤となりえよう。世界銀行の若手職員募集「ヤング・プロフェッショナル・プログラム」に各国の若者が多数応募していることなども,心強い現象である。また、1974年にローマ・クラブの会合に出席したカナダのトルドー首相184注22)A.0.ェレテ他(茅他訳)『ラテン・アメリカから見た世界モデル新しい社会の創造』ダイヤモンド社,昭51、P.8-9注23)A.0.ェレラ他、上掲書、P.ll