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概要

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第2回佳作あたっては、このどちらに対しても適切なアプローチを行なうことが有効であると思われる。また、プラント委員会は、南北問題という切り口を通じて、世界が相互連関性を有しはじめているにもかかわらず、国家間に極端な貧富の格差が存在していることが危機の主たる要因であるとしているOそして「国内では公共政策によって弱い同胞を保護しなけれ14)ばならない。世界共同体の国家間の関係についても、この教訓を適用する時が来ている」としてグローバルな対応の必要性を説いている。次に「世界秩序モデル・プロジェクト(略称WOMP)」は、「われわれは、世界の基本的な構造変動の時代に生きているのでは15)ないか」として根本的な変化を認めているし、国際問題協議会でも「過去30年間の国際関係を特色づけてきた多くの前提条件、政策および制度が、今日・州の要求にそぐわなくな16)ってきている」とLている。これらの見解に見る限り、世界が従来と異なる構造-変化しつつあるという点では一致しているように思われる。また、ポールディングは、二十一世紀を迎えるためには、人類は「四つの落し穴」を乗り越えていかねばならないとしてい17)る。すなわち、「戦争の落し穴」、「人口の落し穴」、「技術そのもの(資源)の落し穴」、「人間の本性そのものの落し穴」である。この「四つの落し穴」を前述の二者に分けると、人口と資源は緊急の行動を必要とするものに、人間の本性は長期の課題であるものに、戦争は前者と後者の両方にあてはまるO戟争の問題はきわめて重要であるが、枚数の関係上割愛せざるをえない。したがって、ここではポールディングが戦争廃止のた瑚耐直観の変革と第三者介入の制度強化を強調しており、そのどちらにおいても社会科学は重要な役割を果たすであろうと期待している点を述べるにとどめたい。また、人口と資源に関しては、指数的成長がもたらすほとんど突然の破局に注意をうながしたい。さらに経済的繁栄の尺度が1人あたりのGDPであるなら、人口の増減は南北格差と直接的にも関係をもっているといえようoいかなる要素にもまLて、限度を超えて増殖した生物は種の滅亡の危険に直面するという事実に重大な関心をもたざるをえない。同時にあらゆる危機がなくなった時、人類は倦怠と堕落のどろ沼に落ちることなく生物的活力を保持できるかという問題も並行して考えるべきであると思われる.注14)国際開発閉篭独立委員会.前掲書、P.46往15)坂本義和、前掲書、vij往16)リチャード.H.ウルマン(田村訳)「まえがき-1980年代プロジェクト」(『国際通貨体制の再編』所収)、P.2注17)K.ポールディング(清水訳)『二十世紀の意味-偉大なる転換-』岩波書店、昭53、14版179