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概要

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第2回佳作l)る」というものである。これらの見解には、次の点で同意できない。第一に世界を先進工業国と開発途上国に分けて考える二分法によっている点。第二に価値観が一方的な点。第三に将来の体制についての展望が明らかでない点、の三点においてである。この点に関しては第2節でも検討を加える.以上四つの体制に関しては、現時点においては将来の国際中央銀行体制志向を明らかにするという条件付で地域通貨圏構想が望ましいと思われるが、国連大学でもこの間趣が研究されるべきであろう。理念とともに粘り強い実践も世界共同体の統治のためには必要なことである。そして、そのための経験的事例研究は、国連大学の研究テーマとして必須である。B多国籍企業への対処多国籍企業に関してはさまざまな議論がなされてきた。特に70年代前半までは多国籍企業に関する正確な情報が不足していたためもあって、真っ向から対立する見解が発表された。イデオロギー色の強いものは除外するとして、一方では、多国籍企業は資源配分の最良の手段であり問題点はほとんどすべて市境で解決できるとする見解があり、他方では、多国籍企業は結果とLて国内の貧富の格差を世界的な規模で再現し固定化するという見解があった。また、多国籍企業の本社指令機能が国家主権と対立する可能性があるという懸念も表明された。限られた枚数で論議を尽くすことは不可能であるが、前者の見解には次のように応じたい。第一に、市場の限界についてはかねてから明らかであり、単純な自由主義経済論では現在の相互依存性の強まった世界の問題の解決にならないO第二に、企業は基本的には利潤13-よび組織維持の動機で動いており、社会的な分配の公正さまで期待するのは無理であるということである。また、後者の見解には次のように答えたい.第-に、企業は目的遂行のための手段に過ぎず、仮に貧富の格差が広がるとすれば、それは手段の用い方に問題が存在する。第二に、国家主権との対立は国際的な規範作成その他の措置によって調整可能であるL、企業活動を含めてあらゆる分野で急速に統合化が進んでいる現在では国家主権という概念に妄執する方にむしろ問題があるということである。さて、多くの場で検討が重ねられるにつれて基本認識ともいえるものが生まれてきた。注11)ユージン. 1,ストウ(小宮訳)「多国籍企業と世界経済の将来」(『多国籍企業』所収)Ej本経済新聞社、昭51 177