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概要

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●第2回佳作三の地域通貨圏休制とは、世界をいくつかの通貨圏に分け、その圏内では固定相場制、通貨圏相互間では変動相場制をとるというものである。モースは、通貨圏の安定発展と国際中央銀行体制-の統合という二つの可能性を指摘した上で、現在の先進国間の相互依存性の増大と開発途上Elのブロック化による要求増加という動きを無視した形での通貨圏構想は不安定であるとしている.地域通貨圏について明確な結論が出せる段階ではないと思われるが、ここでその注目すべきケースとしてEMS(欧州通貨制度)およびその基盤としてのEC (欧州共同体)について考察してみたい01958年のローマ条約によって発足したEEC (欧州経済共同体)は、52年に発足したECSC (欧州石炭鉄鋼共同体)、58年発足のEURATOM (酎卜原子か共同体)と67年に執行機関を統合したため、以後ECと総称されるようになった。ECの究極的な目標は政治を含めた欧州の統合であるとされ、そのための具体案として次の項目があげられている。すなわち、域内関税の撤廃、対外共通関税、域内資本等の自由移動、共通農業政策、共通運輸政策、域内自由競争、加盟国経済政策調整、各国法制の接近、欧州社会基金創設、欧州投資銀行設立、域外国および領域との連合、の十一点である。個々の検討は割愛するが、取り決めは広範囲かつ詳細であり統合-の意思が感じられる。次に現在までの経過をみると、ローマ条約で69年末までの過渡期間中に達成をめざしていたもののうち、関税同盟と共通農業政策は68年7月頃に達成された。すなわち、工業品、農産物とも域内関税の撤廃、域外関税の一本化が可能となり、域内農産物の共通価格と価格支持制度も実施されたのである。特に共通農業政策は強力な農業生産力をもつ仏と他国の利害が鋭く対立しており、これを調整して制度として確立したことは短期の利害を超える各国の強い共通認識の現われと思われる。本来、制度や組織は意思の表現であり、単なる運営技術のみで長期間にわたってそれを維持することは困難であろう。これはECの通貨統合の変遷からも感じられることである。通貨統合の直接的な動機は、共通農業政策における平価変更の影響解決のためであった。平価変更による農業所得の増減を防ぐため通貨政策面での協力強化が必要と考えられ、72年から域内通貨変動幅縮小計画(スネーク)が実施された。71年のニクソン・ショックによる困難な状況の175