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概要

satoh

第2回優秀賞のである。この会で討議される原案を提供するのが国連大学だ。もちろんその実現に至る道程は、決して平坦でないだろう。例えば「アジア」と一言でいっても、それがかかえている各国についてみれば、政治・社会体制、歴史、文化、宗教、人種、言語はまちまちであり、それ等を超えた各国の協調組織を作るのには困難が多いと予想される。それに対して絶えず有効な意見を提供し、実現の道が少しでも容易となるように活動することを求められているのがまた、国連大学なのである。7国連大学の課題への取り組み方以上で私は、国連大学が未来に向かって何をなすべきかについて述べてきた。ここで残された問題は、大学がそうした課題にどう取り組み、目的に向かって前進していくかということだろう。まず大学のスタッフを充実させることが、当面の優先事項として浮かびあがってくる。私がこれまで述べてきた技術移転の問題は、技術の供給側、需要側双方の事情に通暁した専門家でないと解決がおぼつかない.技術移転を望む国側は、開発に際しての複雑な国内事情、つまりその国の歴史や社会、文化事情を経済問題にからめて訴えるであろうし、他方技術を供給する国側は、援助をすすめる理念や、市場機構を活用する上でのいくつかの希望を述べるであろう。そして技術の授受にかかわる双方の言い分を公平に吟味したうえでないと、実効のある提言はとうてい生み出せないにちがいない。国連大学は、その性格からいって、他の国際機関よりも、国益が露骨に衝突する場ではない。そこにこそ、国際機関としての国連大学の独自性、優位性があるのだ。従って研究スタッフについては、技術上の先進国、途上国双方から人材を集めるのが望ましいし、それが可能なはずである。また、この小論の初めの方でふれたように、国連の各専門機関の行なった技術移転プロジェクトを評価し直すような作業には、そうした専門機関から人材を派遣してもらう必要があるだろう。国連全体の行政効率をあげるためにも、専門機関を含めた機構内での人材1占3