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概要

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第2回優秀賞な目標ではない。技術も、それを受け入れる人間となじみのいいものとそうでないものとがある。地域の特性に合わせたいわゆる適正技術を見出すことが、技術選択のかなめであるといえよう。国連大学がここで求められることとすれば、各国からの依頼に応じ、適正技術を見出す手助けをすることである。大学はそのための専門家から成るスタッフをかかえ、いつでもそのような依頼に応えられる体制を、今後ととのえていく必要がある。現在開発途上にある多くの国では、技術選択の前提となる技術評価を十分にし得る人材を欠いているO技術移転の主体となる国連の各専門機関も、その専門性の故に、かえって一国の二田ヒや歴史に目配りした技術選択ができない場合があるかもしれない。その意味で、各専門機関の上部機構として、あるいは各国からの相談に応じるためにも、国連大学が適正技術の選択に対して助言機能を発揮するようになることが大いに期待されるのである。ここである途上国が、国連大学にある技術を移転すべきかどうかの助言を求めてきたとき、国連大学がどう対応すべきかを考えてみよう。まず大学内に技術評価のできる専門家と地域の内情に通じた開発経済の専門家からなるスタッフ集団を組織する。これは地域ごと、また技術分野ごとに当然異なった陣容をとるだろう。この集団は移転技術の評価をする前に、受け入れ国が伝統技術をどこまで発展させ、その技術が社会にどのような影響を与えているかを詳細に検討する。続いて移転技術とその分野の伝統技術がどんな関係にあるかを明らかにする。移転技術は伝統技術を温存した上で、それを補うような関係にたつのか、あるいはそれを全く駆逐し、大きな社会変動を起こす可能性のあるものなのか、そこをはっきり見定めた上で、移転技術を評価するのである。つまり技術に対する社会学的なアプローチとアセスメントを行なうわけだ。そして移転技術に再度向かいあい、それと伝統社会との間に過度の軌蝶が生じないよう、技術の受け入れ方法に関して助言を行ない、あるいは技術を受け入れやすくするための技術の修正を提案する。これをもとにその開発途上国は自国の技術政策を再検討する。このようなシ153