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概要

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「保護貿易主義と世界的経済危機」川村幸夫要約現在の世界的経済危機の一要因として先進諸国の開発途上国に対する保護貿易主義が挙げられる。その背景の主因は先進諸国に続いている経済成長の低迷と失業率の増大に基づく国内社会の圧力によることが多い。この先進諸国の保護貿易主義は、今後の国際分業体制を含めた新国際経済秩序-の静行を不安なものにするばかりでなく、自由開放貿易を前提としなければ成り立たない世界経済の常に内包する危機要因の一つとなっている。各種国際会議では各国が世界経済共同体を構成する一員としてその貿易環境改善に努力する旨表明するが、にも拘らず、保護貿易主義は国内向け短期の即効薬として実施される場合が多い。国内産業調整政策の成果が十分挙がらず、高次産業構造-の移行がスムーズにいかない先進国に於いては、開発途上国からの安価な工業産品の輸入に対して特定産業分野との貿易摩擦が生じ易く保護貿易主義の台頭が容易にみられる。又、政治・社会的にも利益配分・価値の多様化が進んだ先進国社会は貿易政策-の評価が多元化する反面、特定政治勢力の利益に配慮せざるをえないという状況が進んでいる.この点で今後も国際貿易上の理念と現実の対応とのギャップが存在し続けることになる。先進諸国のこの動きは、開発途上国の工業化政策を中心とした国内開発プログラムの推進を不透明なものにし国際分業体制の一環を担おうとする意欲を阻害してしまう。同時に126