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概要

satoh

しかし、経済開発戦略の目的が経済発展にあり、経済発展とは、その対象となる地域住民の生活の質的向上と考える場合、「非経済的」という言葉を使うことは適当ではないであろう。なぜなら、経済開発戦略の場合、経済を中心として戦略を展開することは当然であるが、それに関連してくる必要なもの全てが、経済開発戦略に含まれるべきであり、「非経済的」なものとして区別する必要はないOここで丸尾氏が、「非経済的」なものとして取りあげているものも、「経済的」なものとして扱いたい。私がここで言いたいことは.実際は、このような言葉の間蓮ではない。というのは、ここで、福祉指数を考える時、「非経済的指数」を取り入れたことで、十分なのである。しかし、私達は時として、自分の専門分野ということを意識し、それにより、無意識のうちに、自分の範囲、枠組みを作ってしまう傾向があり、そこから出る必要がないものであると自分を信じこませてしまう。この考え方が、私達にとって非常に危険な考え方なのであるOというのは、このような考え方でいると、私達は、真の目的を見失ってしまい、いつのまにか、1つの手段、又は真の目的でなく当面の目標を、本来の目的であると自分に信じこませてしまうからである。私は、この章で、経済開発戦略の真の目的は、何であるのかということを自分に問いながら、その目的を達成する為には、どのような基準で判断しながら進んで行く必要があるのかということを述べてきた。しかし、最後に、この目的を達成する為の手技は、それぞれの地域によって大きく異なっていることを述べておこう。例えば、戦後の日本のような場合、経済開発戦略は、重工業部門を中心とした経済成長に主眼を置いた。そして、それにより経済循環がうまく回り、その結果として幸福度を上げることとなった。この場合、目的を達成する為に、その方法に経済成長を用いたと考えるべきなのである。(しかし、その経済成長という道具を、今日では、経済開発戦略の目的として捉え始めていることは残念なことである。)当時、日本では、垂工業化政策を取ることが、幸福-国民を導く方法であったのである。なぜなら、童工業化の条件としての、工業に適した労働力、国内・海外の垂工業製品の需要、国民の工業化にかける意気込114