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概要

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第一章経済開発戦略の再考私達が何か行動を起こす時、そこには、必ず目的がある。例えば、私達が、毎日、無意識に行なっている食事や睡眠でさえも、体を維持するという目的を持っている。まして、私達の行動が、生物として自分の生休を保持する以外のものである時、その行動の目的は、複雑なものにはなるが、より一層明確なものとなる。それは、私達が自分の意思決定により行動を起こすからである。私達の社会の中での行動は、常に、はっきりした目的がある。なぜ、この仕事をするのか、なぜこの本を読むのかなどというものにも、人それぞれ違うが、はっきりした目的があろう。政府の政策や、それぞれの国の経済開発戦略にしても、明確な目的があって、初めて、その行動戦略が具体的なものとなり意味を持ってくるはずである。では、今日の経済開発戦略の目的は何であろうか。どのようなものを開発の目的と考えているであろうか。その目的は、経済開発戦略の対象となる地域の経済発展にある。では、この目的を明確に捉える為に、「経済発展」とは何かということを考えてみよう。1968年にLロピンズは、著書『経済思想史における経済発展の理論』の中で、「経済発展」とは「1人当たりの実質所得の変化あるいはその可能性に関連した動き、この場合、実質所得とはその与える経験・満足とは区別される財・サービスの入手可能性の流れ1)と考える」と定義している。しかし、ここで定義されている経済発展は、経済開発戦略の目的ではなく、1つの指標でしかないように思われる。その理由を述べる前に、他の学者の定義をみてみよう。キンドゥルバーガーは『経済発展論』の中で、「経済成長ということばが、産出量の増加を意味するの忙たいして、経済発展というのは、その他に、技術的2)・制度的な生産方法の変化をも合わせて意味することばである」と述べている。また、フランソワ・ペルーは、1961年に著わした『20世紀の経済』で「経済発展」を「住民に自らの総実質生産物を、累積的かつ継続的に成長させる適性を与えるような精神的・社会的3)変化の結合」と定義している。さらに1962年の国連の「開発の10年」に関する事務総長報10占注1)LordRobbins,TheTheoryofEconomicDevelopmentintheHistoryofEcont}micTholght,London,1968,P.4(井手Ej一夫.伊東正則監訳『経済発展の学誠』東洋経済新報社、 5頁)注2)C.K主ndleberger,EconomicDevelopment,2nded.,New York,1965,P.3(坂本・加野・菅訳『経済発展論』上巻、好学社、3頁)荘3)F.Peroux,L'Eco10miedlXXeSik】e,3e主dリaug.,Paris,1969,P.191