ブックタイトルsatoh

ページ
1002/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている1002ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

日、中国やアラブなど、西欧以外の文明の見直しを行い、その中から人間と自然の共生と、そのための文明の在り方について、考えていくことも重要であると思える。日本においても、明治維新前まで、資源循環型の安定した社会を構築しており、その文明のシステムを、新たな視点で見直してみることは、地球規模での資源循環システムを作り出す上で大いに参考になると考える。江戸時代には、200年以上にわたって鎖国を続け、長期に安定した社会を維持してきたが、その背景には、日本という限定された地域の中で、自律的な資源循環型の生活システムを完成させていたことがあげられる。それは、長い歴史の中で培って来た日本型農業文明の集大成として、日本の国土に降り注ぐ太陽エネルギーで生産された植物資源だけで、ほぼ安定的に生活を維持していくことが可能な文明のシステムが、きめ細かく形成されていた。江戸時代の生活は、食べ物はもとより、衣服や住宅、そして生活に必要なェネルギーの大部分をも植物から生産している。その植物資源確保のために、勤勉な労働によって、限られた国土の生産力を、最大限に生かす努力を行うとともに、利用した植物資源も使用後は極力土に還元するなど、生産の基礎となる地力の維持に細心の注意を払ってきた。例えば、日本の浜辺に多く見られる、松林の何気ない風景も、これを防風林として整備していくためには、多くの技術の蓄積が必要になる。風の強い砂浜に松を根づかせることは容易ではない。そのためには、砂の動きを止め、地力を養い、先行する植物群落の育成から始まる、何段階にも及ぶプロセスを経ながら、立派な松林を育て上げて行く、多くのきめ細かな技術があった。また、その文化のセンターであった江戸では、100万人という当時としては世界一の人口を抱えていたにも関わらず、簡素ではあるがバランスの取れた都市システムによって,長期に安定した都市生活を営むことができた。早くから整備された水道と、合理的なし尿処理システムによって、当時のパリやロンドンで問題となった、伝染病の発生という都市生活での恐怖も、最小限に止めることができた.そこでの生活は、物質的には質素ではあ1000